馬の瞳を見つめて

言葉にならない思いがずっとひきずられてしまう本でした。

私は競馬が好きです。毎週楽しんでいます。競走馬が必要なくなったら廃用となり屠殺されていることはしっていました。私のところの乗馬クラブでも足がはれてどうしようもなかった子がとうとう馬軍車で連れて行かれました。人間の都合で生み出され好きなだけ搾取された挙句に劣悪な環境で苦しみながら殺されていく馬たち。その様子を想像してしまうとほんとうに申し訳なくなります。

著者の渡辺はるみさんは、生産した馬たちを死なせるしかない運命ならば、せめて苦しまずに死なせてやりたいと、わが子のようにかわいいと思っている馬たちをそのご自身の決断で目の前で死なせます。思いっきり遊ばせていっぱいおいしいものをたべさせている最中に麻酔をかけてねむらせておいてから安楽死させるのです。

馬たちの命尽き果てる瞬間がなまなましくもまっすぐな視線で描かれていて、そこにある著者の深い感情がその文章を通じて伝わってきます。ある方の話を思い出してしまいました。私が関わっていた重い障害を持つ子供さんのお母さんが、「私が死ぬ前にこの子を殺してから死にたい」とおっしゃっていたのです。ああ、これが母心なんだなあと思いました。人間の話と比べるのもおかしいのかもしれないのですが、重い障害を抱える子供たちは自力では生きていけません。絶対的な保護が必要です。そういった意味では、一度人間の手をかけた動物とて同じこと。「死」に対しても責任を全うしようとされる著者の姿勢と実践に心打たれます。母心だなあと。観音様になりたいという著者。「死」に苦しみはつきものなのでしょうが、取り除ける苦しみはないに越したことはありません。

馬は口がきけないので、本当に何を望んでいるのか、幸せなのかそうじゃないのかをはっきり確かめることができないので、こうすることが馬の幸せだろうと考えることも人間の勝手なのかもしれないのですが。それも仕方がないという前提の上で私に今できること。それは今関わっている馬たちができるだけ長く健康に生きておいしいものを食べられることをジャマしない、できることなら手助けするということ。具体的にいえば、ちゃんとお手入れをする、上手になって落とす馬を作らないでおくなどなど・・・

あとは、フォスターペアレントの会というものにも入ってみた。競走馬が引退したあとの養老生活を支援する団体。個人の力は微力だけど、それが束となれば・・・

明日は、馬たちに会いに行く。

彼らにとってどうすることが幸せなのかその顔をみながら考えてみようと思う。

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